2857人が本棚に入れています
本棚に追加
/1762ページ
「ひぃー、死ぬー」
秋勾はわざとらしく叫びながら逃げていく。・・・とは言っても、本人は本気でやっていて、決してふざけてはいないのだが、やっぱりわざとらしく聞こえるのであって、それはいつものユルさが招く真剣さのせいである。
さて、そんなはたから見たら特撮の撮影中かとも思われる(本当は文字通り必死な)追いかけっこをしてしばらくたった頃、上から声をかけられた。
「ちょっと、生きてるー?」
「ど、どこに・・・ってえええええ」
もう最近は常識が通用しないようである。声の主の少女は高い高い木の上にどういった訳か登っていて、しかもその木々に跳び移って移動しているではないか。秋勾はそれを見て、ナ○トのやつみたいだなぁ、と場違いに感心した。
「っていうか速っ!あんた化け物!?」
「僕としては君らの方が化け物なんだけれど!?」
「フフフ、違イナイ」
この場で1番化け物な鬼が苦笑する。もちろん秋勾を追いながらである。なんともいえない微妙な・・・つっこんでほしいのだろうか。
「・・・まぁいいわ。あんた、助かりたいんなら聞きなさい」
なんとまぁ偉そうに少女が言う。
最初のコメントを投稿しよう!