天気雨の別称Ⅱ

26/31

2857人が本棚に入れています
本棚に追加
/1762ページ
 「助かりたいのなら私と結婚しなさい」  「またそれか・・・」  「なんですって!?・・・ふん、じゃあ助けなくていいのね、さようなら」  「ちょ、ちょっと待って!」  鬼の一撃をしゃがんで避けながら必死に呼び止める。この状況を打破出来るのはもうこの狐少女だけなのだ。  「・・・じゃあ何?」  「えっと・・・いいです!その条件で」  すると少女は何が不満か、ぶすっとした表情になった。  「・・・その条件って何よその条件って。どの条件よ。誰が、誰と、どうするって、ちゃんと明確に言いなさい」  流石の秋勾もぷちっと・・・切れかけて済んだが、なんとまぁお姫様なやつである。まぁプロポーズだしね!  秋勾は渋ったが、後ろの鬼のドスドスと荒い足音を聞き、なんとか怒りを収め、少女に改めて告げた。よく堪えた、秋勾。  「・・・君に応える。僕と結婚しよう」  「して『下さい』」  「・・・してくださいっ!!」  最後は半ば怒鳴るように言ったが、少女は(無理矢理でも)へりくだる様が満足だったようで、妖しい笑みを浮かべたあと、木から飛び降りた。  それを見て秋勾は絶句した。だって飛び降り。
/1762ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2857人が本棚に入れています
本棚に追加