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「･･･どういう意味よ」
「貴様ハ人ト結バレタノダ。コノ山ニ居ル理由ハモウアルマイガ」
少女は苦虫を噛み潰したような表情をする。
「･･･あんた最初からそれが狙いだったんじゃない。だからあいつを追うのも本気じゃなかったのね」
「貴様ノ一芝居ヲ手伝ッテヤッタノダ。感謝シテ欲シイクライダナ」
「･･･ふん、まぁいいわ。こんな古臭い山、私の方から出てってやるわよ」
「ナラバ早ヨウ行ケ、早ヨウ」
鬼がシッシッと手を振るあたり、少女は鬼にとってよほど迷惑な存在だったのだろう。･･･その後、ドスドスと鬼がどこかに去っていくのを見届けてから、少女はやっと秋勾に振り返った。
「･･･いま正式な祝詞を唱えるから、黙って静かに立ってなさい」
黙って静かて被ってんじゃん、とも思わず、秋勾は直立不動で黙って静かにしていた。やがて少女の口から、似合わない言葉の羅列が紡ぎ出された。秋勾はそれを聞いて、自然と心が落ち着いていくのがわかった。
･･･言ったら悪いが、安部家のお経は不安になってしまうものだった。なのになぜか、この少女のは安心させられる。あたたかく、優しいのだ。
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