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嗚呼、いと美しき
異界の山では
鵜が啼き喚いて
餌を求めているのでしょうか
雄叫びをあげる 鷹よ
駆ける 狐よ
霧を晴らす 疾風吹き抜け
茎を腐らせる 菊咲き乱れた
気だるげな鷹が言った
「此処まで来て
指図等受けぬよ、天よ
死ぬ時さえも、ね」
進んで首差し出す 狐
背伸びをしても変わらんよ
空は高いんだからさ、狐よ
旅立つ 鷹
血塗れの赤黒い 鷹
連れの鬼は笑った
手を差し出せよ
時は止まらぬから、狐よ
長き眠りを拒んで
睨む死神
濡れた目尻
ねぇ、狐よ
野垂れ死になっても
離したくない物を
人はもつんだってね
ふざけた話だね、狐よ
変な生き物だね、人間は
本当におかしな生物だ
間違う事無き 崩壊の夢
身を滅ぼす愚かな人間
無口な狐が囁いた
「女々しいものだ、全く」
最早
やれる事は一つ
夢の酔いは覚めぬ
喜んで首差し出す狐よ
楽園なんて存在しないのに
理由は一つ
流浪の自由なんて要らない
冷静な狐が囁いた
「炉を焚くとさ
訳も分からず駆けてた、あの頃を思い出すよ」
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