居眠り

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 それは彼が朝、通学して来る時の電車内での話だ。  その日は月曜日で、休み明けの朝早い事もあり、車内での居眠りが多くなる時間帯だった。彼の隣の女性も居眠りをしていて、頭がコツンと彼の肩にぶつかった。  面識は無かったが、同じ学部で何度か顔を見た程度の女性だった。  僕らの通う大学は終点の駅にあり、どうせ同じ大学なのだし、その時に起こせばいいと思っていた。だが、彼女はそのままズルリと膝まで滑り落ちてしまい、丁度膝枕をしているような感じになった。  流石に起こそうかと思ったが、彼女も疲れているのだろうし、起こしてもまた寝てしまい、何度も気まずい思いをさせる事も無いだろうと、そのままにしておいた。  彼は優しい性格なのである。
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