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「うふふ、ゆっくりと、ジワジワと、やりました」
「おめでとう」
また拍手が世界を覆う。おばあさんは機嫌よく笑いながらこの場より消える。
「そっか、ジワジワを選んだんだ」
彼女は嬉しそうにそう呟いた。
さて、私は“何にするか”考えておかないとな。
「あ、おじさま、お腹減ってませんか?」
そう言いながらグミを差し出した。私はありがとうと言って受け取り、食べた。味はグレープ、ふむ、最近のお菓子は美味しいな。
「カナコさんはお菓子が好きなのかい?」
「はい! 私、グミが大好きです!」
彼女は満面の笑顔をしている。あはは、本当に可愛いな。こんなに笑ったのは久し振りだ。
この子となら待ち時間は退屈しないだろう。
そして彼女の番を待つまで時間が流れていた。彼女は緊張した様子だ。
「あはは、緊張しちゃうな」
「カナコさんなら大丈夫ですよ」
「はい、頑張ります!」
両手でガッツポーズする。それと同時に扉が開いた。
出て来たのは若い青年、眼鏡を掛けていかにも勉学が得意そうな風貌だ。
「はぁっ、はぁっ、うう……うう……」
彼は泣くばかりだ。
「おめでとう」
拍手を贈る。だが、彼はおぼつさない足取りでフラフラ帰った。
「大丈夫かな、……私の番だ、行って来ます!」
「いってらっしゃい」
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