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カナコさんはドアの向こうへ。さて、次はいよいよ私の番だ。頑張るしかないな。
それから長い時間が流れた。なかなか終わらないな、カナコさん大丈夫だったろうか?
退屈に欠伸をしたらドアが開き、彼女が戻った。
その姿は赤い血が全身に塗られ、ぼたぼたとその液体を床に飲ませていた。髪も、顔も、服も、赤でベトベトだ。せっかくのきれいな髪が赤く犯されている。
「ちくしょう……」
さっきまでの彼女とは思えない、鬼の様な形相をし、汚らしい言葉を吐いている。
「ちくしょう、あれぐらいじゃ足りない! くそ! ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう!」
おめでとうが言えなかった。
「ちくしょう、ばか野郎! はぁ、はぁ、……おじさま」
「……なんだい?」
「おじさまはちゃんとやるんだよ?」
「ああ、分かったよ」
「うん……バイバイ」
彼女は赤い軌跡を残して去る。
さて、いよいよだ。
白いドアを開け、様々な思いを携えて入室した。
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