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『ゲームショップ 穴場』
商店街の裏手をしばらく歩いていった先にちょこんと構えられた小規模な建物の入り口には、そんな掛け看板が小さく取り付けられていた。造りも外装も普通の家と変わらないほどに地味で、気にして見ていなければ間違いなく見落とすだろう。
「よし、着いたぜ!」
「……ここが、か?」
穴場って、本当にそのまんまだな……銀は思いっきり思ったが、あえて言わなかった。
「ここさ、何でか知らないけど探してたゲームがよく見つかる、名前通り『穴場』な店なんだ」
自慢の長髪を払いながら、自慢げに説明する俊也。男のくせに後ろで結うほど長い茶髪と、目立つ赤のヘアバンド。あからさまな校則違反だ。まぁ、彼はそんなことまったく気にはしないのだが。
「ふぅん……こんなところに店があったのか。でもここ、営業成り立ってんのかな……」
「んなことどーでもいーだろ!さ、入るぜ!」
決してどうでもよくはないだろうが、まぁ開いているあたり一応経営は成り立っているのだろう。
ガララ……
「……らっしゃいませぇー」
扉を開けて中にはいると、ちんまりしたカウンターの奥から小さく男の声が聞こえてきた。なんだかやる気のない声だ。やはり暇なのだろうが。
「さぁ、探そうぜ!ぇーと、RPGは確か向こうだったよな……」
外からの見た目同様、店内もさほどの広さはない。せいぜいが駄菓子屋程度の広さで、商品を陳列する棚のせいで尚のこと狭く感じる。
「ここだここ、RPGのは行。ぇーと、は、ひ、『ふ』。よし、ここら辺だな」
俊也に促され、一緒に『フから始まるタイトルのゲーム』の並んだ棚の中を探す。意外だが確かに『穴場』を名乗るだけあり、小さな店らしからぬ豊富な品揃えになっている。探すのはなかなか骨が折れそうだ。
だが、
「うーん……ここにもなさそう、だな……」
「そうみたいだな……」
結局、この店にも人気作『pride veil』は売れ残っていなかったのだった。
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