サイト石の採掘所

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村長の家に着いた銀たちは、サイト石の採掘場であった出来事について詳細に話した。魔物の親玉を倒したこと、採掘所は崩落し中で気絶していた魔物たちもその下敷きだろうこと。そしてそれと同時刻に、あの決して壊せなかった呪いの悪魔像がひとりでに崩れ去ったことを返しで聞いた。 その場にいるのは銀とライザと村長のみ。メテオは銀を送り届けると、早々にどこかへ立ち去ってしまった。 「なるほど、採掘場そのものを根城にしていましたか……それで、やはり魔物たちの指揮を執っていたのは人間だったのでしょうか?」 「え?……いえ、でっかくて毛むくじゃらの魔物でした」 村長の質問に銀が、それに答えた銀の返答に村長が、お互いに不審な表情を作った。その間に割って入るように、ライザが言葉を入れる。 「僕たちが戦ったのは魔物ばかりで、人間なんて見かけもしなかったよ。けど、やはりって、誰か心当たりでもあるの?」 「ええ。以前村が魔物たちに襲撃されたとき、魔物たちの指揮を執っていたのが人間だったのです。いや、人間の姿をした魔物だったのかも知れませんが……」 コーヒーを啜る音が数秒、それからライザの問いに村長が答える。 だが、銀たちは人間も人間らしき姿も見ていない。洞窟の崩落に巻き込まれた可能性も十分あるが、その正体に心当たるものはなかった。 「まぁ、こうして呪いも解けたわけで良かったのですが……指揮官の正体がわからないというのも不気味なものですね」 「逃げ出していたら、またここみたいに呪われる場所があるかも知れませんしね。……よし、じゃあ俺たちは旅先で一緒にそいつの情報を探してみます」 「おお、それはありがたい。是非お願いしますよ」 村長は喜びを表情いっぱいに浮かべると、謎の人間の身体的特徴をメモし、銀に手渡した。 そんなやり取りが行われているのと同じ頃、外では歓喜冷めやらぬ村人たちがお祭りのように騒いでいた。 その騒ぎは夜通し続き、明け方まで鎮まる事はなかった。
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