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目覚めるとそこは真っ白な部屋だった。
そこらには乱雑に何かに使うだろう色々な機材がおいてある。
扉の向こうにはこの部屋と同じ広さの部屋があり
こちらの部屋より幾分生活感があるように思えた。
向こうの部屋には男がソファーに腰掛けて眠っている。
私はその男に『おはようございます』と声をかけた。
彼は私に気がつきいた様だった。
『やぁ、おはよう』
『おはようございます。あなたは?』
『私は君を作ったものだ。君にあることをしてもらうために作った。』
『あること?』
彼は私に色々と説明した。
世界中の人間はある奇病でほとんどがしんでしまっていること。
彼も病にかかりあと2ヶ月ほどで死んでしまうこと。
私は死んだ彼のお墓を造る為に造られたこと。
そしてこの場所は彼の叔父に譲ってもらった場所だと彼は言った。
『最期は静かで綺麗な場所で死にたくてね。』
その後も私はそれまで家の仕事の事を聞いた。
朝には二人分の食事と珈琲を入れ、
食事の後には生活に使う水を井戸から汲んでくる。
夕方には畑の野菜を収穫し、昼と夜の食事も私が用意すると。
私は彼に私の名前はなにか聞いた。
しかし彼は名前は必要ないと言った。
私はそれ以上は聞かなかった。
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