姐御と呼ばせて

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『迂濶だった…』 ガタガタ震えながら私は缶コーヒー片手に座りこんでいた 3月の東北はまだ寒い事を生の体で実感しつつ 早く暖に当たらないと死んでしまうのではないか? と言う思いに心が摘まれそうになった しかし、ここで諦めてもどうにもならない 街へと向かわない限り どうする事も出来ないのだ 私はまたバイクに跨り 寒空の下をヨタヨタと走る スピードを出すと寒いし スピードを出さないと早く着かない まあスピードも出す事もしなけりゃ ノロノロと走る気もない 中途半端なスピードで道を進んだ 空は腹立たしい程、澄み渡り 私の行く手を阻む様に風が吹き付けている 『このバイカー泣かせめ…』 と自然相手にぼやいてみても どうにもならない… いや… 旅の初日に通じたな… 『風ちょっと止まって』 …はい無理ですね そんな馬鹿な事をしていないと 本当に心を摘まれそうなので 必死に一人で喋り続けた 山道しかない… 果たしてこの道は本当に 街へと続いているのか? 解らないから進んでみよう そう改めて決意して 私は進んだ
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