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そして 家庭教師最後の日は訪れた
『お世話になりました』
とお母さんが先生と話をしている間
私はずっとテレビを見ていた
私に出来る最大限で小さな反発
まともに話もしないまま
先生は家を出て行った
部屋に戻ると
また涙が出てきた
これで終わりなんだな…
って思ったら
涙が止まらなかった
先生の事がまだ好きだ
でも
もう駄目なんだ…
サヨナラって言った方が良かったのかな…
言えないよ…言えるはずない
好きだから
私は外へ出た
まだ間に合う…
自転車を必死にこいで
先生を見つけた
『先生!』
ビクっとして振り返る
『どしたの?』
…
大事な時に言葉が出ない
ただ一言 一言なのに
言葉が出ない
何て言えばいいんだろ…
沈黙が続き
先生が何かを言おうとした
それをかき消すように
私は言った
『待ってるからね』
それが私にとっての精一杯の言葉だった
『おう、頑張れよ!ユキ!!』
先生もね…
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