旅のはじまり

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『お父さんお母さん、お話があるでございます』 私は夕食後のマッタリした時間を見計らい 勝負に出た 『何よ気持ち悪い…』と母が言った 娘に対して気持ち悪いは無いだろう… 『旅行に言っても良かですか?』 切り口はあえて旅行にしておく そうすることにより 円満に話が進む…そう踏んだ いきなり『一人で旅に出る』と言ったら 許されない、確実に 『どこに?誰と?』 どっかに…一人で… 僅か数秒で駄目なフラグが立つ こーゆーやり取りは苦手だった 『あんたねぇ…』 ため息混じりで母が続けた 『高校生が一人で旅行なんて許される訳ないでしょう?』 そこをなんとか… 『そもそも何でどこに何日ぐらい行くの?学校どうすんのよ?』 母の質問攻めにいきなり戸惑う 我ながらノープラン万歳な所が泣けてくる 要所をまとめ、両親に伝えた 場所はまだ決めていない、行きたい所をその場で決める 移動はバイク 期間は春休み中だけど詳細は決めてない お金は自分で稼いだから大丈夫 …とこんな感じな事を伝えた 要所と言うよりもはやただの思いつきを並べただけだ しかし、私は『御願いします』と土下座をした 『迷惑かけません、悪いことなんてしません、五体満足で必ず帰ります』 と私は続けた すると、全身全霊を込めた必死な私を見た父が言った一言は 『沢木耕太郎にでもなりたいのか?』 …誰? 『沢木耕太郎はちょっと違うでしょ?』と母 『どちらかと言うとゲバラだな』と兄 おいおい…私を置いて話をするなよ 話が脱線し始めたので私は部屋に戻って行った まぁ上手くはいかないよな… 部屋で地図帳を眺めながらぼんやりとしていた
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