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工場に着いてバイクを降ろした
中に入ってから私はどこに居れば良いのか…
『その辺にテキトーに』
と言われたが右往左往している
バイク屋の兄さんは工具を探しに行ったっきり帰って来ない
ウロウロしていると1台のバイクが目に入った…
ゼファーだ
綺麗なワインレッド色
兄が乗っているものと一緒だ
私はまじまじと眺め
バイクに鍵が掛っている事に気がついた
思わず私はエンジンを入れた
ドゥルンと音をたてるバイク
軽く拭かしてその音を聴きいっていた
『良い音するやろ?』
振り返ると工具を持ったお兄さんがいた
『棄てられてたから持ってきてコツコツ直したんやけどな』
うわ…もったいない…
『バイクなんて動かなくなったらただの鉄くずやし』
まあそうですけど
『でもな、バイクは乗り手選べへんし、こっちも商売やし…なんやかんややっぱりお客取っちゃうからな、だからせめてココだけでも大事に綺麗にしてるんよ』
確にココに置いてあるバイクはどれも綺麗
フロントが割れているバイクも
骨組だけのものも
綺麗に磨かれている
私は…改めてバイクとの付き合い方を知った
好きなだけじゃ駄目なんだ
ただ乗るだけじゃ
駄目なんだと
一緒に生きていく…
『バイクは乗り手を選べない…』
その言葉が深く刺さった
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