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二人でしばらくジャンモの森を歩き回った。
閖雅(ゆりまさ)は此処が何処ですら分からなかったが、オッドはまるで熟知しているかのようにすたすたと歩いていた。
先をいくオッドは時折、後ろを振り向いた。悪戦苦闘する閖雅を見て呆れていた。
そしてふと彼は言った。
オッド:「あーそうそう…さっき聞き忘れてたんだけどよ…ユリの属性って何だ?」
閖雅:「え…属性?」
呆然としていた彼を見たオッドは苦笑混じりに自分のポケットから出してあるモノを見せた。
それは閖雅が知っているものだった。
閖雅:「トランプ…」
しかし彼が姉から託された物とは少し違っていた。オッドが持っているトランプは背表紙が赤く、表面には彼には読むことの出来ない文字と共に絵が描かれていた。
閖雅は胸の内ポケットに手を入れてトランプを見せた。彼がオッドに見せたのは背表紙だけだった。
オッド:「お~!な~んだ、持ってるじゃないかよ」
閖雅は直ぐにトランプをしまった。オッドは何がそんなに嬉しいのか、彼の前で小躍(こおど)りをした。
ぽぉ…
閖雅:「うわっ」
オッドが背を向けたときに閖雅のトランプが光り輝きだした。彼は自然と辺りを見回した。
ググッ…
閖雅:「!」
すると少し離れた場所から、オッドに狙いを定めた弓を構える男が見えた。閖雅は咄嗟に叫んでいた。
閖雅:「オッド、危ない!!」
一一シュンッ
彼が叫ぶのと男が矢を放つのは同時だった。
オッド:「!…っち」
たたんっ
小躍りをしていた時のおどけた表情(かお)から一変し、キリッと引き締まった表情は凛々(りり)しく見えた。オッドはその場から横に跳び矢を避けた。
一一シュンッシュンッシュンッ
男にはもう二人の仲間がいた。三人でオッドを狙い撃ちをしていた。オッドは紙一重で全てを避け、徐々に閖雅から意識的に離れていた。
閖雅:「…凄い…」
矢継ぎ早に繰り出される攻撃を休む暇なく避けるその様は人間離れしていた。
プチーン
あまりのしつこさにオッドはキレた。この反撃の方法はしたくなかったのだが、行うしか方法かなかった。
閖雅:「ひっ」
閖雅はオッドの眼差しが温かみあるものから、最初に出会った時のようにギラギラと殺気に満ちたものに変わった。
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