第四章

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閖雅とクロスは穴を囲んで中を覗いていた。用心の為にハクとフォーカスは閖雅とクロスの傍に待機していた。 オッドはというと、辺りの惨劇(さんげき)をまじまじと見つめ、鼻を押さえていた。彼は火炎虎の血を受け継いでいるため、鼻は人間以上、火炎虎未満ぐらいだったので嗅覚が鋭かった。 オッド:「(…惨たらしいな。クロスのやつ…どうしてこうも簡単に命を奪えるんだろうな)」 オッドを見ていた二人は、二人だけのテレパシーで会話する。 フォーカス:「(彼は不思議ですね)」 ハク:「(小僧は自分の血をうまく扱えていないようだ。…時が経てば良いモノになるだろうな)」 フォーカス:「(そうですね。…俺はクロスがユリマサ殿を手助けしたように、彼にも二人を手助けしてほしい存在になってほしいですし)」 二匹がそんな会話をしていることに気がつかずにオッドは鼻を押さえたまま、閖雅とクロスが覗き込む穴を覗くのに加わった。 オッド:「なんだこれは」 閖雅が頭を傾げた。 閖雅:「何だろうね?あの人達が此処から飛び出してきたんだよ」 閖雅とオッドの視線がクロスに集中した。彼は二人の視線の中にある気持ちを察して両手をあげた。 クロス:「わかった、此処について…全てを話すわ」 クロスの話はこうだった。 地の島に興味半分で近付くものは、必ずしも連絡が途絶えるというものだった。すなわち、閖雅とハクが体験したことを結果にすると追い込まれて確実に死ぬということだった。 クロスは彼等をそんな場所に踏み込ませたくなかったが、閖雅やオッドの気持ちを汲むとそうせざるおえなかった。 話を聞いた閖雅とオッドは渋い顔をして唸った。 オッド:「お前なぁ…そんな危ない話をなんで黙ってたんだ?」 閖雅「そうだよ。それだったら僕は勝手な行動はしなかったのに…」 クロス:「う…」 彼等を思って隠していたことが仇となった。 クロス:「…これからどうするの?」 閖雅とオッドは見つめ合い、不適な笑みを浮かべた。クロスはそれを見てがっくりと肩を落とした。 閖雅/オッド:「もちろん…」 閖雅:「このまま…♪」 オッド:「レッツゴーだぜ♪」 閖雅とオッドは片手を掲げながら叫んだ。
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