第五章

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競りが始まり広場が慌ただしく、騒がしくなった。 男:「50万G!」 男:「100万G!」 次々と檻の魔物が召喚獣用ではなく、『鑑賞用』として競り落とされていった。 ドクン… 閖雅はクロスとオッドと離れ離れになって待機していた。彼はクロスの合図を待っていた。 オッドとクロスは比較的に出入口に近いところにいた。閖雅は指示があった場所とは違う、1番遠い所にいた。何故ならそこが一番の要のような気がした。 閖雅:「(僕一人なら、逃げ切れる。二人が見つかっちゃった時は…僕が盾になるんだ)」 一一キィィィンッ 閖雅:「(!!、来た!)」 クロスの魔力の膨らみが分かった。広場全体が殺気立つ。闇市だけに、警戒心が高かった。侵入者を見つけたというよりも、状況の変化に敏感だった。 クロス:「錠前を壊して仲間を救え『鎌鼬の戯れ(フロウリック)』!」 クロスはポーチの蓋を開けて指を鳴らした。その中から小さな召喚獣(かまいたち)が三匹飛び出してきた。彼等は目に見えない速さで駆け抜け、錠前を壊して回る。 オッド:「バイヤーを蹴散らせ『地表の火柱(ピラーオブファイア)』!」 一一ゴバァーッ バイヤー:「うぎゃあーっ」 オッドが放った火柱は魔物の檻を守るように噴き出した。競り落としたバイヤーはその近くでソレを守っていた。オッドは手加減無しの火力で放った為に、辺りに肉の焼ける臭いがした。 一一ガシャコーン 魔物達は人間が自分達から離れていくのを見ると身体を檻に当てだした。檻の扉を開ようともがいていた。成功したまものは次々と壊して出てきた。 一一ゾクゥッ バイヤー達は彼等が本気を出してきたら太刀打ちが出来ないことを知っていた。彼等は一目散に出入口へと駆け出した。地の島の住人は闇市に関わらないようにしていたのか、家の中で息を潜めた。 ドクン… オッドとクロスは隙を見て中から外の通路に来ていたが、いつになっても閖雅が来ない。もたもたしているとバイヤー達がこちらに来ているのが見えた。 そのバイヤー達を魔物たちが興奮して倒していく。 閖雅は離れたところで冷たい眼差しをして彼等を見下ろしていた。 閖雅:「僕は…お前達を許さない。この競りの為だけに何人もの命が…奪われてたと思うと…」 一一キィィィンッ 閖雅の魔力がこれ以上ない程高まる。
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