第五章

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ハクが放った魔法の球ががっぽりと扉を開かないように塞いでしまった。この扉は強い衝撃を受けても開かない仕組みになっていたが、塞いでしまっては出られない。 一一ドガガガガッ 向こう側からオッドとクロスが蹴ったりする音が閖雅達の方に聞こえる。向こう側には警備員もいたが、音を聞き付けてやってきたところをクロスが沈めた。 オッド:「ユリ!」 クロス:「ユー君!!」 一一ドンドンドン 二人は扉を叩きまくった。何も返答がないので顔色が悪くなる。 フォーカス:「(クロス)」 クロス:「ユー君、返事しろ!」 フォーカス:「(…クロス!!)」 オッドはフォーカスの怒る気配を感じて押し黙った。クロスはしゅんとなっていた。 フォーカス:「ユリマサ殿はきっと大丈夫です。ハク様も付いてます」 クロス:「あ、ああ…」 オッド:「…クロス…」 オッドは放心状態でクロスを見上げた。クロスは閖雅とハクを信じて、外で待つことにした。 クロス:「(ユー君、アナタを信じてるわよ…)」 バイヤー達は此処から出られない事を悟り、壁に固まって張り付いていた。住人達は住居として使っている穴から出てこないまま、広場の様子を見ていた。 広場には魔物、壁側にはバイヤー達と区分けが出来ていた。魔物の元に、白蛇を連れた一人の少年が近寄った。 魔物達:「ガルル…」 威嚇してくる魔物達に閖雅は微笑んでいた。 閖雅:「大丈夫だった?」 魔物達:「グルル…」 …ぴょんぴょん 閖雅:「!!!」 そこに一匹だけ威嚇していない魔物が彼等の間に立った。 閖雅:「君は…」 青くてクリクリしている瞳で閖雅を見上げる。兎は無言で彼に頭を下げた。 兎:「…助けてくれて…ありがとうございました」 閖雅:「!!!!!」 魔物達は閖雅とその仲間が助けてくれたことに気付いていたが、人間だからどうしてもむず痒かった。 魔物①:「…助けてくれたのはありがたいが、ここからどうやって脱出する気だ?」 魔物②:「人間達の様子を見ると、脱出方法はないみたいよ」 兎が背筋を伸ばした。 兎:「…うち(私)に任せて」 ぴょんぴょん 兎は『地中の鷹の目』を発動させ、地上に近い場所を探り出した。それから閖雅を見た。 兎:「…あいつらはどうするの?」 閖雅は住人とバイヤーを見た。 閖雅:「このまま放置しても死なないでしょ。これに懲りて、止めることを祈るけどね」 魔物達は閖雅の言葉にほくそ笑んだ。
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