第六章

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閖雅は地上にたどり着くと、ハクから下りて抱いていた兎をそっと地面に置いた。 閖雅:「おいき。今度は捕まるんじゃないよ」 彼は兎の背中をそっと押し、囁くようにいった。 ぴょんぴょん 兎はニメートルほど進むと閖雅の方を振り返り、しばらく彼を見つめると向きを変えて行ってしまった。 閖雅とハクだけになってしまった。 閖雅:「…あ、オッドとクロスさん…大丈夫かな?」 ハク:「大丈夫だろう。二人はともかく、あいつが居る」 閖雅:「あいつって…フォーカス?」 ハク:「そいつの他に誰が居る?」 閖雅はハクに乗らずに跨がった。周囲は広かったので幅を心配しなくても良かった。 ?:「ーい」 閖雅:「ん?」 閖雅は誰かの声が聞こえた。そちらを見ると姿は見えない。 ?:「…おーい!」 目を凝らしていると遠くにオッドとクロスが歩いていたのが見えた。 向こうも閖雅に気がつき、駆けて来た。彼は立ち上がってハクにスピードを出してもらった。 オッド:「ユリ!!」 クロス:「ユー君!!」 閖雅:「うわっ」 二人は閖雅と再会するといなや、ハクから彼の腕を引いて力強く抱きしめた。 閖雅:「い、痛いよ…」 オッド:「バカヤロウ!もう少し、お前の存在を実感させろや」 クロス:「そうよ!…あぁ…ユー君、本物だわ」 閖雅:「………」 二人は嬉しさの余り、泣いていた。ハクは閖雅を見て微笑んでいた。 閖雅は二人の背中を優しく叩いた。 閖雅:「…ごめんね…心配かけちゃって…」 クロス:「…驚いちゃったわよ。突然、扉が開かなくなっちゃうんだもん」 オッド:「そうだよ。何があったんだ?」 閖雅はハクを見た。彼はバイヤー達の攻撃魔法で扉を塞いでしまったのを思い出して恥ずかしそうに視線を外した。 閖雅:「…敵の魔法の影響で扉が壊れちゃったんだ。出られたのはある魔物のおかげさ」 オッド:「ふーん?…ん?」 オッドは閖雅の背後に兎の姿が見えた。兎はオッドが見られているのを察すると岩影に姿を隠した。 閖雅:「…どうしたの?」 オッド:「アレは何だ?」 閖雅:「アレ?、あっ!…れ?」 彼は振り向くとそこには何も居なかった。
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