第六章

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閖雅が不思議そうにしていると、クロスがため息を吐いた。 クロス:「あんた…大丈夫?」 オッド:「あっれー…おっかしいなぁ…俺の見間違えかな?」 すると、兎の縦長の耳が岩影から突き出ていた。 閖雅:「まさか…君なの?」 兎が姿を見せなかった。 閖雅:「?」 オッドは兎の気持ちに気がつき、閖雅に囁いた。 オッド:「…なんか…お前に対して隠れてるみたいだぞ」 閖雅:「どうして?」 オッド:「う~ん…」 クロス:「………」 クロスはしばらく考えたあと、閖雅の腕を引いて抱きしめた。彼は突然の事だったので叫んでしまった。 閖雅:「ぅわっ!!」 閖雅の悲鳴を聞いた兎は血相を変えて飛び出してきた。 オッド:「お」 クロスの作戦勝ちで兎を岩影から引っ張り出した。 兎:「………」 兎は慌てながらキョロキョロと辺りを見回した。 閖雅:「あれ…どうして此処にいるの?」 兎:「………」 兎は何も言わなかった。オッドは代わりに気持ちを言った。 オッド:「お前と居たいってよ」 兎:「一一!」 青い瞳でオッドを見上げた。 クロス:「兎ちゃん…アナタ、女の子でしょ?あたしの前では女の子と気持ちって丸裸なのよ♪」 オッド:「…止めろ、気色悪いぞ、エセオカマ」 クロス:「エセって…」 クロスは苦笑した。閖雅は兎の前にひざまづいた。 兎:「………」 閖雅:「君はもともと、ここの住人なんだろう?何でか分からないけど、僕には分かるよ。僕を気に入ってくれることは嬉しいけど、ずっと地の島に居るわけにはいかない。…だから君と一緒にはいられないんだ」 兎:「………」 相変わらず、だんまりな兎は閖雅を見つめていた。 オッド:「そういえば…騒ぎで親父とユリの姉貴の話を住人に聞きそびれたな」 閖雅:「あ!」 クロス:「…どうしましょ」 兎:「………」 兎は三人を見ていた。 兎:「…親父って、火炎虎?」 閖雅:「!!!」 閖雅は兎を凝視した。
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