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閖雅が不思議そうにしていると、クロスがため息を吐いた。
クロス:「あんた…大丈夫?」
オッド:「あっれー…おっかしいなぁ…俺の見間違えかな?」
すると、兎の縦長の耳が岩影から突き出ていた。
閖雅:「まさか…君なの?」
兎が姿を見せなかった。
閖雅:「?」
オッドは兎の気持ちに気がつき、閖雅に囁いた。
オッド:「…なんか…お前に対して隠れてるみたいだぞ」
閖雅:「どうして?」
オッド:「う~ん…」
クロス:「………」
クロスはしばらく考えたあと、閖雅の腕を引いて抱きしめた。彼は突然の事だったので叫んでしまった。
閖雅:「ぅわっ!!」
閖雅の悲鳴を聞いた兎は血相を変えて飛び出してきた。
オッド:「お」
クロスの作戦勝ちで兎を岩影から引っ張り出した。
兎:「………」
兎は慌てながらキョロキョロと辺りを見回した。
閖雅:「あれ…どうして此処にいるの?」
兎:「………」
兎は何も言わなかった。オッドは代わりに気持ちを言った。
オッド:「お前と居たいってよ」
兎:「一一!」
青い瞳でオッドを見上げた。
クロス:「兎ちゃん…アナタ、女の子でしょ?あたしの前では女の子と気持ちって丸裸なのよ♪」
オッド:「…止めろ、気色悪いぞ、エセオカマ」
クロス:「エセって…」
クロスは苦笑した。閖雅は兎の前にひざまづいた。
兎:「………」
閖雅:「君はもともと、ここの住人なんだろう?何でか分からないけど、僕には分かるよ。僕を気に入ってくれることは嬉しいけど、ずっと地の島に居るわけにはいかない。…だから君と一緒にはいられないんだ」
兎:「………」
相変わらず、だんまりな兎は閖雅を見つめていた。
オッド:「そういえば…騒ぎで親父とユリの姉貴の話を住人に聞きそびれたな」
閖雅:「あ!」
クロス:「…どうしましょ」
兎:「………」
兎は三人を見ていた。
兎:「…親父って、火炎虎?」
閖雅:「!!!」
閖雅は兎を凝視した。
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