第二章

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オッドが「烈」なら、閖雅(ゆりまさ)は「静」だった。 一一ドドドド… 地響きの音が辺りに響き渡った。 ガクガクブルブル… その音は閖雅が持つトランプから聞こえていて震えていた。彼はそれに対して恐れは全くなかった。 白蛇:「キシャーッ!」 白蛇の雄叫びが辺りに響いた。彼の身体は月よりも白くて美しい輝きを放っていた。 白蛇:「(私を呼ぶのは貴殿か…何故(なにゆえ)私を呼ぶ)」 閖雅:「お願い、この森の炎を鎮火してほしい。僕はこの森を失いたくないんだ」 コクン 白蛇(はく)との会話は閖雅にしか聞こえなかった。白蛇が小さく頷いたような気がした。 彼の身体はトランプの中から出きっていなかった。白蛇は閖雅をじっと見つめ森の炎を見た。 白蛇:「(ふふ…貴殿の望み、しかと承った)」 シュ~ッ 地面を這うように炎が燃え移った場所に目掛けて、舞うように駆け抜けた。 優雅な動きにまるで舞踊をしているかのようだった。彼が駆け抜けた場所の炎は、最初からそこに存在していないように一瞬で消えさった。 一一シュポン 白蛇は役目を果たすとトランプの中に入っていった。オッドはその光景に唖然としていた。 閖雅:「ふぅ~」 トランプを内ポケットにしまった直後、オッドは血相を変えて彼の両肩を掴んだ。 ガシッ 閖雅:「わっ」 オッドは閖雅の至近距離で言った。 オッド:「ゆ、ユリ…お前ってば何者?!…召喚術を使えるのも凄いのに…会話まで…」 閖雅:「え…オッドも、じゃないの?僕は浮かんだ言葉を…」 オッドはがっくりと地面に膝を折って倒れ込んだ。 オッド:「そんなぁ…ジャンモの森の『魔物』が…形無しじゃねーか」 閖雅:「えっ、魔物?!」 目の前の人間と同じ姿のオッドを凝視した。彼は地べたに座り頭を掻いた。 オッド:「あはは、正しくは魔物と人間のハーフだ。どっちつかずの俺はこの島に追いやられて、此処で育った。ちなみに、親父が召喚獣だよ」 「ぶはははは」と笑っておどけていうが、凄い事だった。 オッド:「親父が使い手の母さんに惚れたんだ。すっげー図だったはずさ」 閖雅には深すぎる話だった。image=210755158.jpg
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