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オッドが「烈」なら、閖雅(ゆりまさ)は「静」だった。
一一ドドドド…
地響きの音が辺りに響き渡った。
ガクガクブルブル…
その音は閖雅が持つトランプから聞こえていて震えていた。彼はそれに対して恐れは全くなかった。
白蛇:「キシャーッ!」
白蛇の雄叫びが辺りに響いた。彼の身体は月よりも白くて美しい輝きを放っていた。
白蛇:「(私を呼ぶのは貴殿か…何故(なにゆえ)私を呼ぶ)」
閖雅:「お願い、この森の炎を鎮火してほしい。僕はこの森を失いたくないんだ」
コクン
白蛇(はく)との会話は閖雅にしか聞こえなかった。白蛇が小さく頷いたような気がした。
彼の身体はトランプの中から出きっていなかった。白蛇は閖雅をじっと見つめ森の炎を見た。
白蛇:「(ふふ…貴殿の望み、しかと承った)」
シュ~ッ
地面を這うように炎が燃え移った場所に目掛けて、舞うように駆け抜けた。
優雅な動きにまるで舞踊をしているかのようだった。彼が駆け抜けた場所の炎は、最初からそこに存在していないように一瞬で消えさった。
一一シュポン
白蛇は役目を果たすとトランプの中に入っていった。オッドはその光景に唖然としていた。
閖雅:「ふぅ~」
トランプを内ポケットにしまった直後、オッドは血相を変えて彼の両肩を掴んだ。
ガシッ
閖雅:「わっ」
オッドは閖雅の至近距離で言った。
オッド:「ゆ、ユリ…お前ってば何者?!…召喚術を使えるのも凄いのに…会話まで…」
閖雅:「え…オッドも、じゃないの?僕は浮かんだ言葉を…」
オッドはがっくりと地面に膝を折って倒れ込んだ。
オッド:「そんなぁ…ジャンモの森の『魔物』が…形無しじゃねーか」
閖雅:「えっ、魔物?!」
目の前の人間と同じ姿のオッドを凝視した。彼は地べたに座り頭を掻いた。
オッド:「あはは、正しくは魔物と人間のハーフだ。どっちつかずの俺はこの島に追いやられて、此処で育った。ちなみに、親父が召喚獣だよ」
「ぶはははは」と笑っておどけていうが、凄い事だった。
オッド:「親父が使い手の母さんに惚れたんだ。すっげー図だったはずさ」
閖雅には深すぎる話だった。![image=210755158.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/210755158.jpg?width=800&format=jpg)
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