第六章

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閖雅:「みんな遅いねー」 一一バチバチ 閖雅はハクとアースを同等に扱ったが彼等にはとって、『特別』が欲しいようだった。 閖雅は中々帰ってこないオッドとクロスを待っている間に睡魔に襲われていた。ハクとアースは無言の戦いをしていた。 一一夜 閖雅:「Zzzz…」 眠っている閖雅の身体を誰かが揺らす。 閖雅:「…ん…」 閖雅が目を開けるとそこにはクロスがいた。身体を起こすと日はすっかり落ちていた。 入り口の方を見るとへとへとになったオッドが腰を下ろしていた。 閖雅:「あー…お帰り、クロスさん」 クロス:「あはは、ただいま…ユー君」 オッド:「きちぃー!アースの奴、すっげー道を教えやがったな!…帰り道の方が近かった!」 アースは閖雅との時間を過ごしたかったので遠回りをさせていた。クロスはその事に薄々感づいたが、純粋すぎるオッドは気づかなかった。 鬱憤を晴らすために、オッドはアースを追いかけ回した。 ぴょんぴょんと跳ねるアースは素早かったたて、疲れていたオッドはすぐにバテて、伸びる。 アースは軽やかに跳ねていたが、体力が落ちる事はまったくなかった。 夕食の準備が始まる。 体力が回復したオッドが火を焚くと、彼等は火を囲むようにして座った。 閖雅の隣にはオッドとクロス。彼の膝にはアースがいた。ハクは入り口から近い場所に陣取り、フォーカスはクロスの背後に座っている。 食べ終えたあと、アースは口を開く。 アース:「…うちが…火炎虎を見た…というか、『聞いた』話なんだけ…」 一一それはアースが閖雅と出会う前の話 その日、アースが返品されてから四ヶ月が経とうとしていた。もちろん、その間は檻の中にいた。 アース:「(…今日もいつもと変わらない…ん?)」 男①:「おー、どうした…傷だらけで」 広場にはアースのように身体の小さな魔物は危険度が低かったため、いつも同じ場所に置かれていた。 いつでもバイヤー達に見られるようにこうして観賞用として目につくように一ヶ所に集められていた。 そこに身体中に擦り傷や切り傷を負った男が現れた。
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