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震えていた身体が、ピタリと止まる。
オッド:「だっしゃーっ!!!」
閖雅:「うわっ」
オッドは勢いよく両手をあげて立ち上がると雄叫びをあげた。閖雅は突然だったので後ろにひっくり返った。
閖雅:「………」
二人:「はははははっ!!」
閖雅とオッドは顔を見合わせて笑っていた。
クロス:「後でこの魔法を教えてあげるから…今度は自分で唱えなさいよね。…出来ればだけど」
ハク:「今の魔法は…」
クロスは難無く発動させたが、かなり高等な魔法だった。自分が苦手な属性だったなら、緩和できる。
クロス:「(今のオッドには難しいと思うけど…まぁ、良いか)」
クロスがため息を吐くと閖雅が振り向いた。
閖雅:「そういえば…クロスさんの今の魔法ってなんだか変わってたね」
クロス:「ん?」
クロスは困った。
クロス:「…そうね。実はこの魔法には最低『☆Ⅱ』ランクが必要なのよね。…オッドには内緒よ?」
オッドに聞こえないようにクロスは声を潜めて閖雅に言ったが、彼には聞こえていた。オッドは落ち込むのと立ち直るのも早かった。
オッド:「おっしゃーっ、俺も☆を取るぞ~!!」
閖雅:「…へ?」
オッドのやる気に炎が点る。彼は両手を挙げて張り切ったが、閖雅の腕が上がっているのを不思議に思う。何故なら、オッドは閖雅の手首も掴みあげていた。
閖雅:「…えっと…僕も…取るの?」
きょとんとしていると、ハクがオッドの身体に巻き付いた。
オッド:「ぅぐぇっ…」
閖雅:「ハク?!」
ハク:「駄目だ。ユリマサをそんな危険な目には合わせない」
オッド:「う、ウグ…こ、今度の…俺は折れんぞ!」
クロス:「…はぁ…もうっ」
クロスはそんなハクとオッドを他所に、閖雅に聞いた。
クロス:「ユー君はどんな気持ちなの?」
閖雅:「………」
驚いていた閖雅だったが、満面の笑みを浮かべていた。
この笑顔が全てを語っていた。
それを見たクロスは表情がひきつり、ハクは口を大きく開けて抗議する。
ハク:「ユリマサ!」
閖雅:「僕が決めたんだ。…良いでしょ?」
ハク:「ぅ…」
彼の純粋な眼差しを一身に受けたハクは妥協するしかなかった。アースは何も言わなかった。
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