第三部・秘密

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一一ザァァァ バサッバサッ 雨が降る中、次の場所である風の島に向かっていた。 閖雅はハクの力で服が濡れないように見えない膜に包まれていた。それをフォーカスとオッドとクロスにも施していた。 水に敏感なオッドはクロスとハクのおかげで体調が普段どおりに過ごせるため、彼は鼻唄を歌っていた。 閖雅はそんな彼とは対照的な雰囲気を持つ、クロスを交互に盗み見た。 クロスは無口になり、険しい顔をしていた。 閖雅:「(…ハク~)」 ハク:「(ム…?)」 閖雅はハクに語りかけた。 ハク:「(どうした?)」 閖雅:「(クロスさんの様子が変なんだ)」 ハク:「(クロスが?)」 ハクはクロスを見た。確かにどこか浮かないような、思い詰めた表情をしていた。 フォーカス:「………」 フォーカスはクロスが次の島に風の島を選択した時、彼は不安な気持ちになっていた。 クロスの出身した島と言うこともあり、閖雅とオッドは心を踊らせていた。 しかし、フォーカスはクロスに心配そうな眼差しをしていた。 クロス:「…はぁぁぁ」 すると突然、クロスは深いため息を吐くとクシャクシャと頭を掻いた。 閖雅:「クロスさん…」 クロス:「ん?…あー」 彼は閖雅の表情を見ると苦笑しながら微笑む。 クロス:「ごめんな、心配させて。…久しぶりの里帰りで気が重くってね」 彼は口調が素に戻る。 閖雅:「…どれくらい帰ってないの?」 クロス:「んー」 クロスは腕を組み考え込んだ。 クロス:「…あれは…うん。多分、十年ぶり…くらいだな」 閖雅:「ぇえっ!!?」 あっさりとそういったので閖雅は呆然とした。 閖雅:「じゃあ…十三の時以来…?、…何があったの?」 クロスは微笑むとそれ以上自身の事を語らなかった。 クロス:「…はあぁぁぁ…」 やがて、風の島が視界に入ると、クロスのため息が多くなった。閖雅とオッドは二人でクロスの観察をしていた。 オッド:「おい、これで溜め息は二十六回目だぞ」 閖雅:「…そんなに里帰りが嫌なのかな」 オッド:「あ、まただ…。よくもあんなにため息が出るな…」 オッドはそう言いながら、無意識に自分のため息の回数をクロスの方に加算していた。 閖雅はそのことに気づかなかったが、あえて言わなかった。 クロス:「フォーカス、あの端の方に付けてくれ。ハクは俺の後から離れないで」 フォーカス:「クゥー」 フォーカスは一鳴きした。
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