第三部・秘密

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近づいたことにより、風の全貌が見えた。風の島はテーブルマウンテンにとても似ていた。 そびえ立つ大きな岩山が側面を風で削り取られたことによって、表面は崖のようになっていた。その山の頂上付近は刃物で切られたかのようにぷっつりと切り取られていて、頂上は平らになっていた。 風の島はその名の通り風を操れないと、海に出る事や島から出ることは出来なかった。 クロスは風の住民が寄り付かない場所を知っていたので、そこにフォーカスを着地させる。 風の島というのは外側から見ても眺めがよかったが、降り立って辺りを見回すと眺め良くて風も心地よかった。 閖雅:「ん~!」 閖雅はハクから降りると両手をあげて背伸びをした。オッドもフォーカスから飛び降りると背伸びをする。 オッド:「ぅおお…」 一一ぽきゴキ オッドも閖雅と同じように彼から降りたらストレッチをした。同じ体勢をずっとしていたせいか、物凄い音がした。 クロス:「…お疲れ様」」 クロスはフォーカスの首を軽く叩き、身体を労った。そんな閖雅達を息を潜めて監視している者がいた。 『彼等』はリーダーの合図をもとに、一斉に魔法を唱えだした。 『 彼等 』の狙いは閖雅でもオッドでもなく…フォーカスでもハクでもなかった。 リーダー:「(のこのこ戻ってくるとはな…)」 リーダーは成長した彼を見ても直ぐにクロスだと分かった。 ドクン 閖雅:「…っ!!!」 閖雅は一瞬の殺気を見逃さなかった。辺りを見回し、敵を探った。もちろん、彼の気持ちを察して、ハクも辺りを見回して、嗅覚で探る。 金と白のトランプを左手に隠し持った。オッドは相変わらず、のほほんとしていた。 一一キィィィンッ オッド/クロス:「!!!」 魔法を発動させる時には特有の気配がする。それでクロス達は気がついたが、全ては遅かった。 一斉:「『戒めの鎖(バインドチェーン)』」 一一バシュバシュババ 草むらから一斉に銀製の鎖がクロスに向かって四方八方から飛び交ってきた。 オッド:「クロス!!」 閖雅:「『鮮烈の疾風(ヴィヴァンドゲイル)』!」 強烈な疾風(はやて)が辺りに発生し、クロスに向けられた鎖を全て弾き返した。 一一ギュガキキキィィンッッ
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