第三部・秘密

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やがて閖雅達が来た方向とは逆の方から何人もの足音がした。 彼女は神経を耳に集中させた。 アース:「(…辺りを探らずに真っ直ぐこっちに来ているわね…。まるで、うちらの場所を知っているかのように。…もしかして、人海戦術で手当たり次第に探りを入れてたのかしら)」 閖雅とクロスのタッグ魔法を発動させた時に奴らのリーダーがもしもの為に、伝書鳥を空に放ち、仲間に状況を知らせていた。 戻らない彼等の死体を見つけて、仲間が追ってきていた。 風の島の住人は誰でも鳥が扱えた。その鳥は島長にクロスが戻ってきたことが伝えられた。 しかし、その鳥はそのまま直ぐに行かずに、閖雅達の行き先を確認してから報告しに行っていた。 アースの防護壁の付近に、緑の仮面をした黒服の連中が姿を現した。 彼等は辺りを見回していた。アースの魔法の効果で閖雅達の居場所を把握できないでいた。 新たな部隊リーダーは目を凝らす。 するとその中のリーダー格が仲間に合図を出した。 彼等は魔法を唱え始めた。魔法の音は最小限に抑えられていた。 一斉:「(『春風駘蕩(バーナルブリーズ)』)」 一一ふわぁぁ… 春の心地良い風が辺りに吹いた。 その魔法は風の島の『暗殺部隊』だけしか知らないものだった。 心地良い風が、突如、突風に変わり、辺りにあった草木が全て薙ぎ払われた。 アース:「一一!」 彼女は身体が吹き飛ばされないように『鉄壁の守り』を瞬時に自身に発動させた。暗殺部隊はこの島では見慣れないちんけな小動物を見ると、その背後に目をやった。 彼等は消し飛ばなかったアースと、魔法である範囲だけ微動だにしなかった場所を見て笑った。 リーダー:「そこに『大罪人のクリフォード』が居るんだな。隠しだてすると、他の者も同じ運命を辿ることになるぞ!」 アース:「一一!」 彼女は聞き慣れない名前と『大罪人』という言葉に驚いたが表情には出さなかった。 リーダー:「…匿っても無駄だ。命が惜しかったら差し出せ」 アース:「………」 アースは自分の言葉が彼等に伝わらないのを分かっていたので、その場から離れずにリーダーを睨み付けた。彼女は閖雅達の眠りを妨げたくなかった。
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