第三章

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オッド:「はぁっ?!、うっそだろ!?」 襲撃や魔法に驚いた閖雅(ゆりまさ)だったが、異世界(?)から来たことを隠し通すことに限界を感じた彼は打ち明けた。 オッドは魔法や魔物を信じても異世界は別物だった。オッドは腕を組み閖雅を見た。 オッド:「これが…異世界人間族ユリ…」 閖雅:「…変な種族を勝手に作らないでよ」 彼は苦笑混じりにいった。 オッド:「アハハ!俺もお前に何も言えない立場だからな」 その日は襲撃場所から少し離れた所で夜営することにした。 ぱちぱち… オッドは魔法で火を召喚出来ても、一定時間を保つことが出来なかった。 二人はジャンモの森の木々の枝を拾い集めた。そこに火を移して焚火にした。 森の中での火おこしは危険と隣り合わせだったが、オッドの気配を感じ取った生物は何故か、近寄ろうとはしなかった。彼はハーフとはいえ、それ相当な力を兼ね備えていた。 一一バリィッ もしゃもしゃ 閖雅:「………」 閖雅の手にはオッドが捕って来た獲物の丸焼きが握られていた。それは焚き火で焼いていたのだが、彼は自分のを食べるのを忘れてオッドの食べっぷりを見とれていた。 オッド:「ん…食わないのか?」 閖雅:「うぅん、食べるよ。…ねえ、オッド、お腹が減ってたの?」 からんからんと食べた骨を後ろに投げる。 今食べたので計12頭だった。一つの大きさは人間の大人平均の半分ぐらいある、猪(いのしし)と狸(たぬき)を掛け合わせたような生物だった。 オッド:「そうでもないぜ?久しぶりによく燃えたからな。…で、お前に何を聞かれてたんだっけ?」 閖雅:「はあぁぁ… 」 深いため息を吐いた閖雅は飽きれ顔で彼を見た。オッドには一つの事に集中すると他の事を忘れてしまうようだった。 閖雅:「この世界の事だよ!もっと、聞かせてくれるって言ってたよね。もしかして…僕の姉さんのことを忘れてない?!」 彼は目くじらを立てていた。 閖雅の勢いにオッドはたじろぐ。 オッド:「悪かったって…ホント、ユリはシスコンだなぁ。姉貴はガキじゃねぇんだろう?、大丈夫だって」 閖雅:「シス…じゃない!心配なんだよ。一年間も家に帰らないって…異常事態さ!」 オッド:「わ、分かったから…そんなに興奮すんなって…」 閖雅の姉に対しての心意気は半端なものではかった。流石のオッドでは姉の話をしだした彼にはどうすることも出来なかった。
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