第三章

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閖雅(ゆりまさ)が落ち着きを取り戻して夕食を済ませると、寝床を準備してからオッドは彼にゆっくりとこの世界の摂理を話し始めた。 『この世界には数多くの魔法があるんだけど、大きく分けて五属性あるんだ。俺の火と閖雅の水、他には風・雷・土がある。この五属性は島によって分かれるようにして点在しているんだ。 ちなみにこの世界の大半は海で占めていて、召喚獣を持っている人は空を飛び、海を泳いで島を移動するんだ。それ持っていない人々は船舶(せんぱく)で移動している。 此処の事は別名は『五角形の島(ペンタゴン・アイランド)』。その島々に囲まれていて、線で結ぶと中央に存在するのがこの島だ。でも、この島はそれぞれの島に比べて小さな島があった。その島には『選ばれた者』しか立ち入ることは出来なかった…けど、俺はここにいる、ハッハッハッ』 話を聞き終えた閖雅は腕を組んで考え込んでいた。 閖雅:「此処の世界の大半が海なの?!…選ばれてもいないから、オッドは狙われたのかな…」 彼は信じられない状況だった。辺りを見回すと木、木、木。海に囲まれた世界だと全く信じられなかった。オッドはそんな彼の様子を見て笑った。 オッド:「ぶははっ…まぁ、浜辺に行けば分かるよ。…第一、俺は船を持ってないから出ることは出来ねぇ!」 閖雅:「ぇ!?」 ふんっと踏ん反り返りながら彼は言った。 閖雅:「じゃあ…君って…召喚獣を…持ってたりするの?」 オッドは激しく頭を振り、両手を肩の高さに上げた。 オッド:「まっさかぁ?!俺、この島に幽閉されてるも同然だぜ?第一に、この島で生きられてるのも不思議なくらいさ」 オッド:「がははははっ」 閖雅:「………」 明るすぎるオッドに対し、閖雅は微笑んだ。内心では彼に対してこれまで辛かったのだろうと過去を想う。 その様子に閖雅は姉を見失った自分自身の姿が重なってみえた。 二人はそれから直ぐに寝床に潜った。 閖雅:「………」 オッド:「…眠ったのか?」 二人は背を向けた状態で横になった。小さな声でオッドは囁いた。
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