第三章

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少し間を置いて閖雅は応えた。 閖雅:「…起きてるよ。どうかしたの?」 オッド:「へへへ…何だか眠れなくてよ」 閖雅:「僕も」 恥ずかしくて二人は背を向けたままで語り合っていた。 オッド:「お前とは…いや、今日が初めて、人間とゆっくりと話せたよ」 閖雅:「…うん」 オッド:「俺はこの血のせいで人間から拒絶された身だ。まさか…こんな日が来るとは思いもしなかったよ」 その言葉に閖雅は優しく微笑んだ。 閖雅:「へぇ…そうなんだ。実は僕も…君みたいなタイプの人とは今日、初めて話して、初めて友達になったんだよ♪」 オッド:「なっ!!!!?」 ドキッ 一一かあぁぁぁ 素直な閖雅の言葉にオッドはハッとして赤面した。 そう、オッドも閖雅と同じだったのだ。そして「友達」という響きが初めてであり、初めての経験だった。 ぶわぁっ オッドは閖雅に背を向けていたので遠慮なく、声を出さずにとめどなく純粋な嬉しい涙を流した。 閖雅は彼が少し震えていたので泣いていたのを知っていたが、気付かない振りをして狸寝入りをした。 閖雅:「…すぅー」 しばらくすると彼は本当に眠ってしまった。オッドは涙混じりで、自分の身体を起こして閖雅の寝顔を見つめながら言った。 オッド:「…ありがとう…ユリ。初めての友達がお前でホントに良かったぜ」 ピーチチチ… ギシャーッ 閖雅:「ひやっ」 ガバッ 閖雅は聞き慣れない危険な囀り(さえず)?に襲われて、慌てて身体を起こした。辺りを見ると既に朝になっていた。 閖雅:「(そっか…此処は家じゃなかったんだ…)」 彼は夢のような体験をしたのでショックというよりも納得をしていた。 閖雅:「(オッドとの出会いが夢じゃなくて良かった)」 閖雅:「…ん?」 キョロキョロと辺りを見回した。 その彼の姿がないことに閖雅は気がついた。彼が眠っていた場所は綺麗に片付けられていて、火の始末はきちんとされていた。あらためて自分を見ると、オッドの上着が掛けられてあった。 閖雅は心がじんわりと温かくなるのを感じた。 一一ガサガサ… 閖雅:「!!?」 ?:「ぷはーっ」 閖雅の真横から草を掻き分けてくるような音がしだした。彼は内ポケットに手を伸ばそうとしたが、何の変化もないので自然と手が止まった。それと同時に、そこからオッドがオーバーリアクションで飛び出して来た。
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