第四章

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閖雅が驚いていると、オッドは懇願の眼差しで閖雅を見つめていた。 それを見た閖雅は苦笑混じりにハクにいった。 閖雅:「ハク、そんなに見つめないであげてよ。…彼は君の声が聞こえていないみたいだから」 閖雅がそう声に出したのでオッドは一安心して、サッと彼の後ろに身を隠した。 ハク:「(フフ…その様子では…父親以外の召喚獣とは会ったことが無いようだな)」 閖雅:「……え!?」 閖雅は彼の言葉に驚きを隠せなかった。 閖雅:「(えっ?!…分かるの、ハク)」 表情は分からなかったが、ハクは笑っているのは分かった。 ハク:「(あぁ。小僧の父親は…『火炎虎(かえんこ)』だな。母親は人間…)」 ハクは目を細めた。辺りを見回し現在地を確認した。 ハク:「(なるほど…だから小僧は此処に…)」 閖雅:「(『かえんこ』って?)」 ハク:「(ん?あぁ…それはだな…)」 その時、 オッド:「ユリ!」 二人だけの雰囲気に苛立ち感をあらわにしたオッドは閖雅の腕を引き、彼を振り向かせた。 閖雅:「どうしたの?」 オッド:「どうしたの?、じゃねぇよ!俺が蛇の言葉が分からないって分かっているのに、二人だけで話しちゃって…」 ハクは興奮気味のオッドに微笑みかけた。 オッド:「あ…」 オッドは言葉が通じなくても半分だけ魔物の血が混じっているので、感情が感じ取れた。 閖雅:「…オッド?」 顔を赤くした彼に驚いた閖雅は顔を背けてしまったので、ハクを見た。 ハク:「(気にするな。奴は貴殿と仲良くする私に嫉妬しているのだよ)」 オッド:「…ユリ…」 肩に手を置いた閖雅を見た。 優しげなその笑顔に癒されるオッドはハクに歩み寄った。 オッド:「…俺はオッド。…ユリを頼むぜ」 ハク:「シャーッ」 ハク:「(お前に頼まれるまでもない…フッ)」 ハクは口を開けて返事をした。 オッド:「でよぉ…ユリ。コイツは何しに表に?」 閖雅もじっとハクを見た。 ハク:「(ユリマサと小僧…オッドが困っている様子だったからな。私が手助けを、とでも)」 閖雅:「(ほ、本当!?」 閖雅はオッドにその事を伝えると、彼は喜びを体全体で表した。 オッド:「何だって!!?、よっしゃあーっ!!」 オッドは嬉しそうに跳び跳ねた。
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