第五章

2/9
前へ
/432ページ
次へ
一一 二十分後 一向に戻ってこないハクに対し、オッドは苛立ちはじめていた。閖雅(ゆりまさ)は二人で起こした火柱が一向におさまる気配がないので驚いた。 イライラしたオッドが枝を次々に投げ入れていた。 ピィーチチチ 何かの鳥がジャンモの森の方で鳴いている。閖雅とオッドは森に背を向けてそれを聞いていた。 オッド:「…ん…ふわぁぁ…」 オッドは両手を掲げて大きく背伸びをしながら欠伸をした。そのまま、ドスンと砂浜に仰向けになった。閖雅は水平線を見つめながら、ハクを待っていた。 閖雅:「(…遅いなぁ…ハク。大丈夫かな…)」 オッド:「…へ?」 オッド:「うわぁぁっ!?」 空を見つめていたオッドが目を見開き、大声を出して身体を起こす。閖雅は彼の様子を見て驚いた。彼の視線を追って空を見上げた。 閖雅:「!!!??」 一一ふっ… 地上の二人を黒い影が包み込んだ。 閖雅:「あれは…鳥だ!」 一一ふわっ 空には大きな水色の鳥が飛んでいた。鳥は身体を旋回させて、閖雅達に向かって来た。 オッドは閖雅の盾になるように彼の前に立ちはだかる壁となった。 閖雅:「………」 閖雅は目を凝(こ)らしてみると、その鳥の上には人が一人いた。下からでは逆光になって顔が見えなかった。 ?:「………」 鳥の上に居る人は閖雅とオッドを見下ろしていた。鳥はよく見ると、鷲のような顔付きで、鶏のような顎の膨らみがあった。 鳥:「クゥー 」 鳥はひと鳴きすると高度を下げ始めた。 一一ふぁさ… 無音に近い羽音を羽ばたかせて、着地した。 一一スタトン 鳥の上の人は鳥から飛び降りた。 二人:「!!」 人は若い男だった。閖雅とオッドよりも年上だったが、二十代前半だった。髪は茶で瞳は青だった。髪は肩まで襟足が伸びていた。黒い上下の服装に、忍者のマスクのようなのをしていたが、それは襟だった。彼の目はキリ長めの目をしていた。 閖雅とオッドは彼に見とれていた。
/432ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1552人が本棚に入れています
本棚に追加