1552人が本棚に入れています
本棚に追加
一一 二十分後
一向に戻ってこないハクに対し、オッドは苛立ちはじめていた。閖雅(ゆりまさ)は二人で起こした火柱が一向におさまる気配がないので驚いた。
イライラしたオッドが枝を次々に投げ入れていた。
ピィーチチチ
何かの鳥がジャンモの森の方で鳴いている。閖雅とオッドは森に背を向けてそれを聞いていた。
オッド:「…ん…ふわぁぁ…」
オッドは両手を掲げて大きく背伸びをしながら欠伸をした。そのまま、ドスンと砂浜に仰向けになった。閖雅は水平線を見つめながら、ハクを待っていた。
閖雅:「(…遅いなぁ…ハク。大丈夫かな…)」
オッド:「…へ?」
オッド:「うわぁぁっ!?」
空を見つめていたオッドが目を見開き、大声を出して身体を起こす。閖雅は彼の様子を見て驚いた。彼の視線を追って空を見上げた。
閖雅:「!!!??」
一一ふっ…
地上の二人を黒い影が包み込んだ。
閖雅:「あれは…鳥だ!」
一一ふわっ
空には大きな水色の鳥が飛んでいた。鳥は身体を旋回させて、閖雅達に向かって来た。
オッドは閖雅の盾になるように彼の前に立ちはだかる壁となった。
閖雅:「………」
閖雅は目を凝(こ)らしてみると、その鳥の上には人が一人いた。下からでは逆光になって顔が見えなかった。
?:「………」
鳥の上に居る人は閖雅とオッドを見下ろしていた。鳥はよく見ると、鷲のような顔付きで、鶏のような顎の膨らみがあった。
鳥:「クゥー 」
鳥はひと鳴きすると高度を下げ始めた。
一一ふぁさ…
無音に近い羽音を羽ばたかせて、着地した。
一一スタトン
鳥の上の人は鳥から飛び降りた。
二人:「!!」
人は若い男だった。閖雅とオッドよりも年上だったが、二十代前半だった。髪は茶で瞳は青だった。髪は肩まで襟足が伸びていた。黒い上下の服装に、忍者のマスクのようなのをしていたが、それは襟だった。彼の目はキリ長めの目をしていた。
閖雅とオッドは彼に見とれていた。
最初のコメントを投稿しよう!