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男はスッと忍者のマスクのような襟を下にずらしてニッコリと笑った。
二人:「!!」
彼は極上の色男だった。男の閖雅(ゆりまさ)やオッドが見とれてしまうくらいだった。男はしなやかな歩き方で二人に近寄った。
オッド:「うわっ!」
男は閖雅の盾になったままのオッドに手を伸ばし、そのまま頬に触れた。彼は驚き、声を上げて後退った。が、オッドは顎を掴まれたまま動けなかった。男はにっこりと頬笑みながら言った。
男:「う~ん。フォーカスがこっちに良いモノがあるからって…来てみたら、可愛いパピーちゃんがいたわ♪」
閖雅:「ぇ…」
オッド:「!!!!!???」
極上の男の口調はバリバリのお姉言葉だった。あまりの衝撃に固まっていると、鳥のフォーカスがため息を吐いた。
フォーカス:「(はぁ…)」
そこにハクが戻って来た。彼は二人の様子に気がつき、フォーカスの方をみた。
魔物同士は言葉が通じる。
ハク:「フォーカス。これはどういう状況だ?」
フォーカスは呆れながら言った。
フォーカス:「…主人の容姿とのギャップにカルチャーショックを受けている最中ですよ」
ハク:「ああ…確か…お前の主人は…」
フォーカス:「はい…何と言うか…」
オッドはゾワゾワと悪寒が走り、思わず右ストレートが男に発射された。
閖雅:「!!!」
一一ヒュッ…パシッ
男:「う~ん…威勢の良いパピーちゃんね♪」
オッド:「げっ」
涼しい顔をしてオッドの手をグッと受け止めた。
オッド:「ちょ…放せよっ」
オッドの腕はびくともしなかった。一生懸命に自由になろうとしたが無理だった。それだけ、男の力が強かった証拠だった。
オッドは魔物の人間のハーフだったので、力には自信があった。そんな彼が変態的な男に力で負かされていた。
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