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サワサワ…
ピィーチチチチ…
ホゥホゥ…
閖雅:「…ん」
一一ぱちっ
閖雅(ゆりまさ)は不思議な感覚に襲われた後、そのまま気を失っていた。彼は身体を起こし、怪我をしていないことを確認すると周囲を見回して唖然としていた。
閖雅:「な…ここは…何処!?…日本?、いや…そもそも…地球なの?!」
そこはどう見ても森に似たジャングルだった。
森にあるような木々がそこにあり、それと共にジャングルに棲息するような植物と生物達が共存していた。その他にも見たことがないような植物が沢山あった。
ホゥホゥホゥ
閖雅が聞いたことある鳥の囀(さえず)りが聞こえた。日本ではその鳥は夜に鳴くものだった。
閖雅:「…どう見ても今は…朝だろ?」
一一ぴかぁぁ
空には太陽らしき惑星が光り輝いていた。
閖雅は気持ちを落ち着かせることにした。日付を見て、慌てて姉の那波(ななみ)の後を追って来てしまったので、ずっとここでじっとしているわけにはいかなかった。
ガサッガサッ
彼は立ち上がり、ジャングルもどきの中を掻き分けながら歩きだした。
閖雅:「…姉さんは本当に此処に来ているのか…?」
ぽぉっ
閖雅:「!?」
すると内ポケットに入れていた青いトランプが急に光り輝き出した。どうして突然、光り出したのか彼には分からなかった。
どうして内ポケットの中にあるのに彼が気づいたかというと、服の間から洩れていたからだった。
閖雅は慌てて服の中から青いトランプを出そうと手を伸ばしたとき一一
閖雅:「!!?」
?:「誰だ、そこにいるのは!!」
草むらの影から見知らぬ若い男が姿を現した。
閖雅は自分と同じくらいの少年が現れたので内ポケットに手を忍ばせるような格好で固まっていた。
少年の髪は火のように赤く、瞳はジャングルもどきの木々のような鮮やかな緑色をしていた。髪はサボテンのトゲのようにツンツンに逆立っていた。少年は閖雅を見る眼差しがギラギラと輝いていた。
閖雅は彼のようなタイプとは本当に縁がなかったので、少年が自分に敵意を剥き出しにしているのが手に取るように分かった。
閖雅:「え、えと…」
少年:「………」
おどおどしていた閖雅を見ていると、気が落ち着いたのか、ぽしゅんと敵意を萎ませた。
彼は近くにあった木に片腕をついて大笑いし始めた。
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