懐かしい甘栗

5 胎児

毎日眠れない日が続き、私は自分が妊娠していることを確信した。三日目の断食が、胃と自律神経を締め付ける。窓の向こうには神田川。
まるで、世界が闇に包まれたような毛布の中で、さっきから出窓の甘栗が私に囁いている。
剥いちゃいなよ。
朦朧とする意識の中、一歩、一歩、鉛のように重い足を動かして、私は螺旋階段を登った。人生の一コマ一コマが、フラッシュバックするたびに足取りは軽くなり、私は意識を失った…