第四話 追憶と幕開け

7/47

1634人が本棚に入れています
本棚に追加
/122ページ
「は、はぁ」  気の抜けた返事をし、優しく微笑み続ける院長先生と見つめ合うことしばらく。後方のドアから小刻みにノックする音が聞こえて来た。  一体、誰が来るのだろうか。私としてはそれなりに力があり、尚且つ秘密を守ってくれそうな口の堅い人だと嬉しい。いやいや、贅沢は言っちゃダメだよ、楓。貴様は何様のつもりなんですかね~!? 「だぁ~れだ!」  傲慢な自分に叱咤するなか、後ろから迫って来た何者かに視界を奪われた。  何と言うことだ。  五感の内の一つを奪われてしまうとは……なんたる失態。  微妙にテンションがおかしくなってきた私はなんなのだろうか?  膝を着き、敗北を悟った私だったが、気付く。  あれ? この声聞いたことあるよ。
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1634人が本棚に入れています
本棚に追加