第四話 追憶と幕開け

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 微笑ましいかどうかはわからないが、成り行きを見守っていた院長先生は優しさと真面目をブレンドしたような口調で私にそう言い聞かせた。  一時はどうなることか、と不安で仕方がなかったこの高校生活だったが、どうにかやっていけそうな気がして来た。  これが、一概に悪いこととは言えないのだから。 「でも、こんなに可愛いのに男の子なのよね~。信じられないなぁ。でもでもね、先生は可愛い子大好きだから安心してね!」  頭から足先までなめ回すような茜先生のセクハラ的な視線に堪えながら、私はそんなことを思っていた。  いやしかし、安心するって何を?  なんでそんなに顔が赤いのですか?  あぁ。またモテモテ体質が発揮されたのですね。  自粛してください。モテモテホルモンの妖精さん。  茜先生とは学院長室の扉の前で別れ、一人私は教室に帰って来た。  そしてドアを開けるなり、聞こえてくる喧騒。知り合いの声も混じっているようだ。厄介としか言いようがないです。
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