第四話 追憶と幕開け

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「みるくちゃん、みるくちゃ~ん!」  前の授業にて、トラブルを引き起こした元凶の一人と言ってもいいレナさんが誰かをからかっているようだ。  いじめはダメだよ!  暴力よりも言葉の暴力はもっとダメ!  社会問題にまで発展してるんだからね!! 「な、何やってるの~!」  いざとなったら、声は出ないものだ。それも、ここはまさにアウェー地。我が城であるかのようには振る舞えない。  怒声ともいえない貧弱な声を上げ、私は生徒たちでできた輪の中に身体を捩込んでいく。 「あぁ……いい香り」  ちょうど、一人のクラスメイトの前を抜けた時、モテモテホルモンにあてられたらしいその人に、突如、後ろから抱き着かれた。
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