第四話 追憶と幕開け

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『違うよ、楓くん。私はキミに期待してるのだ。逆境を打ち破る力がきっとあるはずだ』  それだけ言い残すとモテルフは霧のように消えてしまった。  残された私は大勢の女の子に揉まれながら、考える。  少しでも力が緩まれば、男の私なら脱出は可能。つまりは、その力を緩める方法は?  両手は塞がれているから、手を使うことはできない。あるとすれば、首から上。頭突きをするのは気が引ける。  人間に力を抜けさせるのはどこ?  自由になった場所が顔なら、あれしかない!  ぎりぎり、と身体を動かしながら上半身を反転。運がいいことに、私を抱きしめる人の身長は高くはなかった。
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