第四話 追憶と幕開け

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 人差し指を私に突き付けて、眉の角度を上げる山瀬さん。  私の苦労なんて誰にもわかってもらえないんだ。なら、この勝負。絶対勝たなくては! 「わかったわ。みるくさ……山瀬さん」 「みるくって呼ぼうとするな!」  右足で激しく床を踏み付け、山瀬さんは私に鋭い眼光を浴びせてくる。おでこの方も絶好調だ。 「鳳園寺さん。私が勝ったら、私の言うことはしっかり聞いてもらうわ!」 「じゃ、じゃあ、私が勝ったら…………いっしょにお話をしましょう!」  私の言葉にクラスのみんなが口をぽかり、と開けているが関係ない。誤解を解かなくてはどうにもならないの!  それを傍らで聞いていたレナさんはふるふると身体を震わせて、拳を天に突き上げた。
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