第四話 追憶と幕開け

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「あんたが、ゆかりちゃんと仲良くやってんのを見たときは少し、安心したんだけどね」  確かに、私もゆかりさんとあそこまで仲良くなれたのは驚きだ。まさか、初対面で形見分けされるとも思わなかったし。  綿のような白い毛を風に吹かれながら、ぶらぶらと鞄にぶら下がるストラップ作りのキーホルダーをそっと見る。  そして、ブレザーのポケットの中に入っている小さく折り畳まれた紙を弱く握った。 「メールアドレスもらったしね」 「あんた携帯持ってたんだ。でもさぁ……女子高生には必須とか言うけど寮暮らしだとあんま必要ないわよね」  なんか冷めてるよ、ハルカさん。まるで倦怠期に入った主婦みたい。
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