第四話 追憶と幕開け

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 手前の段ボールを引き寄せて、開けるなりでてきたのはクジラのぬいぐるみ。  クマとかならわかるけど、クジラというチョイスをする女の子はなかなかいないと思う。そして、大体こういうチョイスをするのは母さんだ。  一方、姉さんはというと…… 「うぴゃあぁ」  取り出した写真の束を思わず、投げ捨ててしまう。  それを慌てて拾いなおし、辺りをきょろきょろ。  おそらく、顔が真っ赤であろう私はいつ誰が来ても瞬時に隠せるよう、細心の注意をはらってそれを眺めていく。 「やめてよね」  シーツをかぶり半裸状態、肘を立てながら悩ましげな視線でこちらを見つめる写真の中の姉さんに向かって私は呆れたように声を漏らした。
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