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見惚れてたんだ
空を見上げて、ただひたすら、目を逸らさずにいる、彼から
「…アンタ、」
「何」
「…雨を、どう思う、」
彼は、聞いた
ゆっくり、瞼を瞬かせて、一瞬微笑んだように見えた
「…恵み、かな」
答えに困って、そう答える
だって、雨は雨だし、と傘をくるり、と回してみる
彼は、こちらを見た
振り向くその姿も、綺麗
濡れて額と頬に張り付いた髪の毛を、指で掬うようにして掻き揚げた
こちらを見て、綺麗に笑った
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