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月曜は決まって、ケイと会う
お互い、学校がどうのとか、何も言わないから、そうやって一緒にいるのが普通で
すごく、落ち着く
「コウ、」
彼、ケイはよく名前を呼ぶ
ためらうことなく、髪の毛に触れて優しく撫でて、目を見つめる
日が経って気付いたこと
ケイは、よく髪の毛を触る
嫌ではなく、心地がいいくらい
「何、ケイ」
「髪、伸びたね」
出逢った頃、肩の下で揺れていた髪の毛は、脇を少し超えたあたりまで伸びた
それだけ、ケイと居る時間が長いということ
「コウは長いほうが似合う」
「短いの、見たことないくせに」
「長いほうがいい」
彼氏でも彼女でもないのに、ケイはそう言って微笑む
言葉の魔力―
ケイにはそれがあると思う
有無を言わせない言葉
強いわけではないのに、逆らえない強さ
「ケイは、短いほうがいい」
「そう?」
後ろで括る、自らのその髪の毛を触りながら首を傾げた
「…俺はこれでいいの」
「あたしだけ、ずるい」
「ずるくないよ、コウ」
視線が絡む
ケイの瞳に吸い込まれそう
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