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「…あぁ、俺辞職した方がいいかな…」
娘の幸せそうな姿を見て、新樹はポツリと一言。
「お前に辞められたら俺のストレス発散はどうなる」
隣で苦笑いを浮かべる聖翔は、それはないという感じで新樹の肩をポンっと叩く。
「親父がなんと言おうが今の社長は俺だ。新樹を辞めさせないし、2人の仲もどうにか認めさせる」
「はぁ~…頼んだ」
「なんだ、ウチで雇おうかと思ったのに」
父親2人の会話を聞いていた珠姫が不敵な笑みを浮かべ会話に割り込む。
本気ともなんとも取れないその表情に、心矢も含め2人は苦笑い。
「珠姫様、新樹は渡しませんよ」
「ハハ…聖翔さん、たぶん冗談ですよ、たぶん…」
心矢とて、珠姫の言葉の真意はわからない。
「果たして冗談かな…♪」
不気味な笑みを浮かべる珠姫には、もう何も言えなかった。
「心矢、2人のとこ行くぞ」
「ハイハイ…」
どこか項垂れているような心矢を引き連れ、珠姫はまだ注目を浴びている2人の元へと歩いて行く。
「…聖翔、あれって冗談だよな」
「さぁ…珠姫様の考えていることはさっぱりわからないよ」
子供達に振り回されている感じがする大人2人、盛大なため息をこぼした。
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