第17話

5/6
前へ
/202ページ
次へ
「…あぁ、俺辞職した方がいいかな…」 娘の幸せそうな姿を見て、新樹はポツリと一言。 「お前に辞められたら俺のストレス発散はどうなる」 隣で苦笑いを浮かべる聖翔は、それはないという感じで新樹の肩をポンっと叩く。 「親父がなんと言おうが今の社長は俺だ。新樹を辞めさせないし、2人の仲もどうにか認めさせる」 「はぁ~…頼んだ」 「なんだ、ウチで雇おうかと思ったのに」 父親2人の会話を聞いていた珠姫が不敵な笑みを浮かべ会話に割り込む。 本気ともなんとも取れないその表情に、心矢も含め2人は苦笑い。 「珠姫様、新樹は渡しませんよ」 「ハハ…聖翔さん、たぶん冗談ですよ、たぶん…」 心矢とて、珠姫の言葉の真意はわからない。 「果たして冗談かな…♪」 不気味な笑みを浮かべる珠姫には、もう何も言えなかった。 「心矢、2人のとこ行くぞ」 「ハイハイ…」 どこか項垂れているような心矢を引き連れ、珠姫はまだ注目を浴びている2人の元へと歩いて行く。 「…聖翔、あれって冗談だよな」 「さぁ…珠姫様の考えていることはさっぱりわからないよ」 子供達に振り回されている感じがする大人2人、盛大なため息をこぼした。
/202ページ

最初のコメントを投稿しよう!

936人が本棚に入れています
本棚に追加