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「よっ、千里、カズ」
「あ、珠姫」
「ちーは珠姫にもやんないよ」
「親子で何同じこと言ってんだ」
聖翔と万聖に同じことを言われ、珠姫は少々呆れ気味。
「それより、お前らこれから大変になるぞ」
もうその話はいいと言わんばかりに、心矢が現実を突きつけてくる。
周囲の視線を浴び続けていてそれはわかっていることなのだが、できれば今はそれに触れてほしくなかった。
一時の幸せが打ち砕かれ、千里は万聖の肩に顔を埋める。
「大丈夫、ちーはなんもしなくていいからね。全部、俺に任しといて」
「嫌」
周りにまで聞こえそうなほどはっきりと否定した。
人任せなんてやってられない。
自分も動かなければいけないことはわかっている。
なんと言ってもこれは万聖だけの問題ではなくて、千里自身にも関係のある問題。
「んー、じゃあ、俺と一緒にがんばろ」
「うん」
「俺達もいるからさ、何かあったら頼れ」
「フルに使わせてもらうよ」
「心矢をな」
いつでもどこでも心矢の扱いは変わらず、最後の珠姫の言葉にしょげている。
「2人とも、ありがとう。何をがんばるかわかんないけど、あたしもがんばるから」
千里らしいその言い方に、3人はクスクスと微笑んだ。
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