第18話

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初めはお互いその存在を知っているだけの、ちっぽけな存在だった。 接点も持たず過ごしていくと思っていたあの日。 偶然通りかかった駅前で初めて話をして、そこから全てが変わっていった。 4人でいると全員が自分でいられた、作らなくてよくなった自分。 始まりは駅前のあの日だったかもしれない。 けれど動き出したのは、学校の屋上。 その全てが始まった屋上に千里はいた。 何年も一緒にいたわけではないのに、たった数ヶ月前のことが懐かしく思えて1人微笑んでいる。 「…不気味…」 「ちー、どうした?」 寒さに震えているのかなんなのか自身を抱きしめている珠姫と、覗き込んでくる万聖の声が重なった。 「んー、初めてここで話したこと思い出してた」 「年取ったか?」 「いや、珠姫、なんでそっちいく?」 不思議がる心矢は薄着な上に腕捲りをしている。 「うぅわ、心矢寒そう」 寒空の下その姿でいる心矢を見て、千里は怪訝な表情を浮かべた。 「さっきまで遊んでたから」 「遊んでた?部活じゃなくて?」 「今、テスト期間中」 実は現実逃避をしていた千里。 最近は万聖のことなどいろいろあり、ろくに勉強などしていなかった。 いつものことだと言ってしまえばそれでおしまいだが。
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