第18話

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「大丈夫だよ、また教えるから」 涙目になっている千里の頭を撫でながら、万聖は柔らかい笑みを向ける。 「ヤバいな千里、婚約して早々大問題だ」 「それを言うなぁ!」 「せいぜい婚約解消されないようにがんばんな」 楽しそうに笑いながら珠姫は軽い足取りで屋上から下りて行く。 それに続く、呆れため息をこぼす心矢。 この2人の関係はぜったいに何年も変わらないだろう。 後ろ姿を見てそう思えた。 「ちー、大丈夫だから」 「…ふぇぇ…」 「何もかも安心してていいんだよ」 柔らかい笑みを浮かべ涙を流す千里を抱きしめる。 茉美との婚約解消後、正式に千里との婚約が決まって、怒涛のように日々が過ぎていった。 長く感じた日々だったが、たったの1週間。 祖父を説得することが一番難攻するだろうと思っていたのだが、意外にもあっさりと許可を得たことに何かがやり切れない。 そんな思いもあったけれど、実は聖翔のことを後悔していたのだと知ると、少しは納得することもできた。 万聖に散々嫌みを言われ小さくなっている祖父を見た時は、孫に甘いただのじいさんに変わりないな…と千里は思ったけれど。 面食らっていたのは聖翔だったが、昔のことをどうこう言うつもりはないらしく、万聖の好きなようにさせろとだけ告げていた。
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