想い

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俺の言葉に能面は照れるなあ、あたしって愛されてるねえとおどけ、俺の手をきゅう、と握ってきた。   「ありがとう…」   小さな声と共に、彼女は小さく微笑んだ。怪我した部分が痛むのか、ぎこちない笑み。   俺はなんだか恥ずかしくなり、能面の手をはなし、   「じゃあ、看護婦さん呼んでくるから、おとなしくしてろよ!」   そう照れ隠しに言った。   俺の背中に、能面は呆れてつぶやく。   「こんな状態で動けると思うかい?」   それから静かな、儚げな声で小さく囁いた。   「もう少し、そばにいてくれないかな…?」   「……っ。…まずは、怪我の調子と自分の調子!みんなもあとからわんさかきて忙しくなるぞ!俺とのんびりだべるのはそのあと!」   俺は怒鳴るように言って、逃げるように病室を出た。       病室を出た彼を見て、あたしは小さくため息をついていた。   「そのあと…か」   つぶやいて、枕に頭を預け、あたしは眠りにつこうと目を閉じた。       俺はまずどこにいけばいいのか病院内をさまよい、通り掛かりの看護婦に話し掛けて病室の番号と能面の名前を言って目を覚ましたことを伝えた。   看護婦は頷き、ぱたぱたとどこかへ行っていなくなった。俺は一階のエントランスに行き、ケータイでみんなに電話をかける。みんなは安堵していたり、号泣したりと様々で、俺もまた少し泣いた。       エントランスの自動販売機でジュースを買って少しくつろいでから、能面の病室に戻った。   病室に入ると、能面は眠っているようだった。静かに寝息を立てている。俺は彼女の前髪を払ってやり、パイプ椅子に腰掛けた。
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