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雨宮さんが消えてから、五分もしない内に奥の扉が開いた。
そして雨宮さんに続き、可愛らしい女性も出て来る。
「お待たせしましたぁ」
その間延びした話し方は、先程私達を招入れてくれたものと同じだった。
独特の話し方だが、女性のふんわりとした雰囲気に合っている。
栗色の少々猫っ毛の髪に茶色い大きな瞳、水色のワンピースに真っ白なエプロン姿が可愛らしい。
「こちらがシェフのれいかさんです」
「れいかです。本日はご来店有難うございまぁす」
私達のテーブルまで来た雨宮さんは、隣りで満面の笑みを称える女性を紹介してくれた。
私と和也は、それに軽く頭を下げて応える。
しかし紹介されたはいいが、れいかというのは名字ではないだろう。
いきなり下の名前を教えられ少し驚いたが、店自体のシステムがシステムなので妙に納得してしまう部分もある。
それとも雨宮さんの奥さんなのだろうか。
「先ずは、こちらサラダになりまぁす。メインも直ぐに作りますからお待ちくださいねぇ」
あれこれと考えていると、れいかさんはテーブルにサラダを置き、再び奥へと消えてしまった。
「では、ごゆっくりお楽しみください」
続いて、雨宮さんもれいかさんの後を追い、再び奥へと戻って行った。
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