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「じゃあ食うか」
言うが早いか、和也は既にフォークを手に持ちサラダを食べ始めた。
私も空腹には勝てず、サラダを食べようとフォークを持つ。
しかしサラダを見た瞬間、私は我が目を疑った。
サラダ自体は非常に美味しそうだ。
問題なのは、そのサラダに見覚えがあるということである。
それも一昨日見たばかりだ。
キャベツの上にツナとコーンが乗ったサラダは、見た目は間違いなく一昨日コンビニで買ったサラダだった。
試しに一口食べてみるが、ドレッシングも別売りの和風味と全く一緒である。
無料と言っていたのは、コンビニの商品を別の皿に移すだけだからだろうか。
いや、いくら無料とはいえ、コンビニの商品を出すなど人を馬鹿にしてるとしか思えない。
「このサラダ美味いな」
しかし、和也はコンビニのサラダだとは気付かずに食べ続けている。
私はそこで、あることを思い出した。
和也がサラダを食べているのを見たことが無く、選んでくる弁当も肉メインのものばかりだった。
ゴミ箱に捨てられた空容器に貼られたシールでそれに気付き、和也に野菜や魚も食べろと言うつもりでいたのだ。
しかし私は、それを伝え忘れていたのだ。
私は目の前で美味しそうにサラダを食べる和也の姿に胸が痛んだ。
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